北海道石狩国際法務行政書士事務所
事業承継専門行政書士・相続専門行政書士・補助金申請・融資申請・民泊・旅館開業申請・障害福祉事業者指定・農地転換・各種許認可申請
◇事業承継サポート
事業承継計画策定・コンサルティング 250,000円~(税別)
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3ヶ月サポート:250,000円(税別)
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6ヶ月サポート:490,000円(税別)
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9ヶ月サポート:780,000円(税別)
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12ヶ月サポート:970,000円(税別)
<事業承継について>
事業を継続していくと、いつか必ず訪れるのが事業承継の問題です。
「まだまだ先の話」と対策を先送りにしがちですが、対策を行わず放置していると、
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相続をめぐり争いが生ずる
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後継者が経営ノウハウを身につけていない
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後継者が取引先や従業員の信頼を得ることができていない
などの複雑で面倒なトラブルが発生し、最悪の場合は廃業の憂き目に遭ってしまうこともあります。
未然にトラブルを防ぐためには、
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後継者の決定と周知
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後継者の計画的な育成
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段階的な経営権の移行
など、段階を踏んだ計画的な取組みが重要になってきます。
様々な対策を講じながら事業承継をスムーズに行うためには、数年がかりの計画をたてる必要がありますので、早めに対策を検討する必要があります。
<事業承継対策のポイント>
事業承継対策のポイントとして重要なのは次の2点です。
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経営ノウハウ・経営理念の承継
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取引先との信頼関係の醸成
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財務状況の把握
1.経営ノウハウ・理念の承継
原経営者は、後継者に経営ノウハウ(業務知識・経験・人脈など)を習得させ、理念(経営に対する価値観・信条など)を承継する必要があります。
これらの承継を計画的に行うことは、内外の関係者に対して事業承継についての理解を得ることにつながり、軋轢を減じて円滑な事業承継を行うことができます。
3.経営資産の承継
後継者が安定的に経営をしていくためには、経営資産(自社株式・事業用資産)を後継者に集中的に承継させる必要があります。
資産集中方法としては、
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あらかじめ生前贈与しておく
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遺言で分割方法を指定しておく
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資産が分散する場合は後継者または会社によって買取する
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株式に関する会社法規定(株式の譲渡制限・相続人に対する売渡請求・議決権制限株式・拒否権付株式)の活用
などが考えられます。
注意すべき点は以下のとおりです。
■遺留分への配慮
生前贈与や遺言で資産を集中する場合、現経営者に子が複数いてそのうちの一人を後継者とするときは、後継者とならない子の遺留分を侵害することがないようにして相続トラブルを未然に防ぐ必要があります。
(遺留分とは、法定相続人の最低限の相続分を保証する制度です。
具体的には、経営資産以外の財産を後継者以外の子に相続させる旨の遺言書を作成しておくなどの措置が必要です。
また、経営承継円滑化法の「民法の遺留分に関する特例」を活用して、承継者以外の子の遺留分を制限することも可能です。
■事業承継時に必要な資金の確保
遺留分への配慮の結果、どうしても経営資産が承継者以外の子に分散してしまうことがあります。
その場合、後継者または会社が分散した経営資産を買い取る必要が生じます。
また、経営資産が分散しなかったとしても思わぬ多額の相続税が後継者に課される可能性もあります。
こういった事態に備えて、あらかじめ必要な資金を確保しておくことが大切です。
経営承継円滑化法の「金融支援」や「相続税・贈与税の納税猶予制度」の活用も有効です。
事業承継計画の策定
事業承継を計画的にすすめるためには、事業承継計画を策定する必要があります。
事業承継計画は、中長期の経営計画に事業承継の時期や具体的な対策を盛り込んで作成します。
事業承継に関して計画的に取り組むことは、相続税・贈与税の納税猶予制度を受けるための要件でもあります。
将来に活用する様々な事業承継対策を念頭に入れて計画を策定しましょう。
フローチャートは以下のとおりです。
1.現状の把握
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事業承継の関係者の状況(経営者の親族関係・会社の役員など)
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事業承継に関する資産の状況(経営者の個人資産/負債・会社の経営資源/リスクなど)
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後継者候補のリストアップ(それぞれの候補者の強み/弱みなど)
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相続発生時の想定問題点と解決方法(経営者の法定相続人・株式保有状況・相続財産など)
などを、確認・分析します。
↓
2.承継の方法・後継者の確定
「いつ」「誰に」「どういう方法で」承継するかを確定します。
3.事業承継計画書の作成
中長期の経営計画に事業承継の対策・実施時期を盛り込んで作成します。
中長期の経営計画策定にあたっては,「経営理念」「経営ビジョン(事業の方向性)」「中長期の事業目標」を明確にすると良いでしょう。
事業承継の対策・実施時期については、
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関係者(親族・社内・取引先など)の理解
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後継者の教育
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株式・財産の配分
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経営承継円滑化法の活用
などを考慮して策定していきます。
経営承継円滑化法の活用
経営承継円滑化法とは、平成21年3月1日に全面施行された事業承継の円滑化に向けた総合支援制度です。
主な支援策は、
1.民法の遺留分に関する特例
2.金融支援
3.事業承継税制(相続税・贈与税の納税猶予制度)
の3点となっています。
対象は、中小企業の法人(金融支援については個人事業主も対象)となっています。
■中小企業の定義(中小企業基本法上の定義)
資本金従業員数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業100人以下
※資本金または従業員の要件を満たす必要があります。
※ゴム製品製造業(自動車/航空機用タイヤ・チューブ製造業・工業用ベルト製造業除く)・ソフトウェア/情報処理サービス業・旅館業は政令により要件が緩和されています。
1.民法の遺留分に関する特例
「民法の遺留分に関する特例」とは、経営者の推定相続人全員の合意を得て、後継者への経営資産集中のために遺留分を制限する制度です。
民法上でも遺留分の事前放棄は可能ですが、遺留分を放棄しようとする人自身が家庭裁判所に申立しなければならず、「何のメリットも受けることがない人に手続するよう求める」ことになるため実際の運用には限界がありましたが、この特例によってメリットを享受する後継者が単独で手続できるようになりました。
なお、遺留分制限の対象となる財産は原則として自社株式と持分(合同会社などの持分会社の場合)となります。
特例の内容
民法特例の内容は以下のとおりです。
1.除外特例
後継者と非後継者は、後継者が経営者から生前贈与などによって取得した自社株式について遺留分算定の基礎財産に算入しない(除外する)という合意をすることができます。
これにより、合意の対象とした自社株式は遺留分減殺請求の対象から外れますので、相続による自社株式の分散を防ぐことができます。
2.固定特例
後継者と非後継者は、後継者が経営者から生前贈与などによって取得した自社株式について、遺留分算定の基礎財産に算入する価額を合意時点の価額とする(固定する)ことを合意することができます。
本来の遺留分算定基礎財産の算入価額は相続開始時を基準とした評価額になりますが、この合意の対象とした自社株式については、遺留分算定の基礎財産に算入する際、その価額が当該合意の時における価額に固定されますので、後継者は将来の価値上昇による遺留分の増大を心配することなく経営に専念することが可能となります。
なお、合意する株式の価額は、その適正さを裏付けるために「合意の時における相当な価額」であることについて、弁護士・公認会計士・税理士の証明が必要となります。
また、除外特例と固定特例は組み合わせて活用することも可能です。
3.その他
「除外特例」「固定特例」以外に、
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後継者が贈与を受けた自社株式以外の財産
-
非後継者が贈与を受けた財産
について遺留分算定基礎財産から除外する合意をすることも可能です。
ただし、これらの合意はあくまでもオプションであり、除外特例または固定特例とあわせてしか合意することはできません。
主な要件
民法特例を受けるための主な要件は以下のとおりです。
1.会社
中小企業であり、3年以上事業を継続している非上場会社である必要があります。
2.先代経営者
過去または現在の会社の代表者で、自身の推定相続人のうちの一人以上に会社の株式を贈与していることが必要です。
3.後継者
先代経営者の推定相続人で、現在において会社の代表者であり、先代経営者からの贈与などによって株式を取得し、会社の議決権の過半数を保有する必要があります。
4.合意の条件
民法特例にかかる合意をする際には以下の条件をクリアしている必要があります。
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当事者(先代経営者の遺留分を有する推定相続人全員)の合意があること
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合意の対象となる株式を除くと、後継者が議決権の過半数を確保することができないこと
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以下の場合に非後継者がとることができる措置の定めがあること
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後継者が合意対象の株式等を処分した場合
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先代経営者生存中に後継者が代表者でなくなった場合
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手続の流れ
簡単な手続の流れは以下のとおりです。
1.推定相続人の合意・合意書作成
↓
2.経済産業大臣の確認の申請(合意をしてから1ヶ月以内)
↓
3.家庭裁判所の許可の申立(大臣の確認から1ヶ月以内)
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この民法特例活用のポイントは、
後継者への経営資産集中と非後継者の利益とのバランスを考慮すること
です。
「除外特例」「固定特例」「その他の特例」を組み合わせて経営資産の集中方法のバランスをとり、
遺言で経営資産以外の財産を非後継者に優先的に相続させるなど、相続財産全体のバランスをとる必要があります。
2.金融支援
経営承継円滑化法における金融支援とは、事業承継に際して必要となる資金について特例を設け、経済産業大臣の認定を受けた中小企業(非上場会社及び個人事業主)が、政府系金融機関から低利の融資を受けたり、信用保証協会による保証を活用しやすくするものです。
特例の内容
特例の内容は以下のとおりです。
1.日本政策金融公庫の特例
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特に低利での借入が可能です。(特利A)⇒利率表はこちら
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認定を受けた中小企業の代表者個人による借入が可能です。(通常は代表者個人による借入はできません)
2.信用保証協会の特例
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認定を受けた中小企業(非上場会社または個人事業主)が、信用保証協会の保証を活用して金融機関から借入をする際に、保証枠が別枠として用意されます。(無担保保証枠として8,000万円など)
大臣認定の要件
特例の適用を受けるには、事前に経済産業大臣の認定を得る必要があります。
認定の要件は、中小企業(非上場会社または個人事業主)が先代経営者の死亡または退任によって、以下の事由に該当している必要があります。
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経営資産を取得する必要がある
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経営資産の取得により多額の相続税・贈与税の納税資金が必要
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信用力低下のために売上減少が見込まれる
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信用力低下のため、仕入条件が悪化した
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信用力低下のため、取引金融機関からの借入条件が悪化した
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裁判判決などによって、非後継者である他の相続人に対して、経営資産取得・遺留分減殺請求にかかる支払が必要になった
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事業承継税制適用の要件を満たす場合で、経営資産取得による贈与税または相続税の納付が見込まれる
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上記の他、事業活動の継続に支障を生じさせること
なお、認定の有効期限は認定を受けた日の翌日から1年ですので、有効期限内に認定書を金融機関に提出して融資申込をする必要があります。
また、認定を受けた後に後継者が代表者を退任したり、事業の全部を廃止・譲渡したり、不正な手段で認定を受けていた場合には、認定が取り消されます。
手続の流れ
簡単な手続の流れは以下のとおりです。
1.経済産業大臣の認定の申請
↓
2.金融機関に融資申込
※融資の審査は金融機関によりますので、認定を受けた場合でも融資を受けられない可能性があります。
3.事業承継税制(相続税・贈与税の納税猶予制度)
経営承継円滑化法に基づく経済産業大臣の認定を受けるなど要件を満たした場合は、相続税・贈与税の納税猶予制度を利用することができます。
対象となるのは中小企業(非上場会社)の株式の承継です。
また、一定の要件を満たしている限りは納税猶予は継続され、また定められた事由が発生した場合は猶予されている税額の全部または一部が免除されます。
相続税の納税猶予制度
後継者が相続により非上場会社の株式を取得し、本制度の要件を満たす場合には、後継者が相続前から保有していた議決権株式を含め、発行済完全議決権株式総数の2/3に達するまでの部分について、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
贈与税の納税猶予制度
後継者が先代経営者から一定以上の自社株式の贈与を受け、本制度の要件を満たす場合には、贈与前から後継者が保有していた議決権株式を含め発行済完全議決権株式総数の2/3に達するまでの部分について、贈与税全額の納税が猶予されます。
納税猶予制度の流れ
納税猶予制度の基本的な流れは以下のとおりです。
1.計画的な承継に係る取組
↓
2.経済産業大臣の確認
↓
3.相続の開始または贈与
↓
4.経済産業大臣の認定(相続開始後8ヶ月以内または贈与を受けた翌年の1/15まで)
↓
5.税務署への申告・書類の提出(相続開始後10ヶ月以内または贈与を受けた翌年の2/1から3/15まで)
↓
6.事業継続(5年)・経済産業局/税務署への定期的な報告/届出
納税猶予制度の要件
納税猶予制度の基本的な要件は以下のとおりです。
1.計画的な承継に係る取組・経済産業大臣の確認
計画的な承継に係る取組(後継者の確定、株式の計画的承継等)に関して、先代経営者の存命中または贈与の実行前に、「経済産業大臣の確認」を受けておく必要があります。
※相続税納税猶予の場合、先代経営者が60歳未満で死亡した場合または先代経営者から公正証書遺言により取得する株式と合わせると、後継者が発行済議決権株式の過半数を有する場合は、「確認」を受けていなくても認定の対象になる場合があります。
2.先代経営者の要件
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会社代表者であったこと
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先代経営者+同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつその同族関係者内で筆頭株主であったこと
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役員を退任すること(贈与税納税猶予)
など
3.後継者の要件
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先代経営者の親族(6親等内血族または3親等内姻族または配偶者)であること
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後継者+同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつその同族関係者内で筆頭株主となること
(1つの会社で納税猶予の適用を受けられる者は1人です) -
相続のあった日から5ヶ月を経過する日に会社の代表者であること(相続税納税猶予)
20歳以上であり、かつ役員就任から3年以上経過していること(贈与税納税猶予) -
会社の代表者であること(贈与税納税猶予)
など
4.対象会社の要件
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中小企業基本法の中小企業であること(特例有限会社、持分会社も対象)
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非上場会社であること
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資産管理会社に該当しないこと
など
※「資産管理会社」とは、有価証券・自ら使用していない不動産・現預金等の特定の資産の保有割合が総資産の帳簿価額の総額の70%以上の会社や、これらの特定の資産からの運用収入が総収入金額の75%以上の会社をいいます。(ただし一定の事業実態のある会社は除かれます)
5.経済産業大臣の認定
上記の各要件に該当しているか否か審査の上、経済産業大臣が認定をします。
認定の申請は「相続開始の日から8カ月を経過する日」または「贈与を受けた年の翌年の1/15」までに各地域の経済産業局に対して行います。
※納税猶予の適用を受けるためには、認定時に交付される「認定書」とその他の必要書類を添付して、税務署に相続税または贈与税の申告を行う必要があります。
6.事業継続期間(5年間)の要件
相続税または贈与税の申告期限から5年間事業を継続する必要があります。
具体的には5年間、以下の要件を満たしている必要があります。
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認定を受けた会社の代表者であること
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雇用(従業員数)の8割以上を維持すること
※「従業員数」は、厚生年金保険及び健康保険加入者をベースに判定します。 -
相続した対象株式を保有していること
など
※事業継続期間中は毎年1回、報告基準日(相続税または贈与税の申告期限から1年を経過するごとの日)の翌日から3ヶ月以内に経済産業局に対して所定の報告書を提出する必要があります。
また、税務署に対しても別途「継続届出書」の提出が必要となっています(事業継続期間中は毎年1回、期間経過後は3年に1回となります)。
7.事業継続期間経過後の取扱
納税猶予の対象株式を継続保有等していれば、納税猶予は継続されます。
また、次の場合には猶予されている相続税または贈与税の全部又は一部の納付が免除されます
(税務署に一定の申請等を行う必要があります)。
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当該経営者(後継者)が死亡した場合
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会社が破産又は特別清算した場合
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対象株式の時価が猶予税額を下回る中、当該株式の全部の譲渡を行った場合(ただし、時価を超える猶予税額のみ免除)
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次の後継者に対象株式を贈与し、その後継者が取得した株式につき「贈与税の納税猶予の特例」の適用を受ける場合
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先代経営者(贈与者)が死亡した場合(贈与税納税猶予)
※「先代経営者(贈与者)」が死亡した場合には、先代経営者から後継者に当該株式の相続があったものとみなされ相続税が課税されます(ただし、株式の相続税評価額は贈与時の価額により計算)。
なお、上記5.の際には「経済産業大臣の確認」を受け、一定の要件を満たす場合には、相続によって取得したとみなされた当該株式について相続税の納税猶予の適用を受けることが可能です
この制度を利用して、
1.1代目経営者から2代目経営者への贈与⇒贈与税納税猶予(大臣認定要)
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2.1代目経営者死亡⇒贈与税免除+相続税納税猶予(大臣確認要)
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3.2代目経営者から3代目経営者へ贈与⇒贈与税納税猶予(大臣認定要)
というように、納税猶予を継続していくことができ、将来に渡って円滑な事業承継をしていくことが可能となります。
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事業承継支援のための税制措置としては、上記の相続税・贈与税納税猶予制度以外にも、みなし配当課税に関する特例や小規模宅地等の課税の特例などがあります。
また、節税対策として贈与税の暦年課税制度または相続時精算課税制度を活用することも考えられます。
当事務所では、事業承継計画の策定から様々な制度の活用支援まで、中小企業の経営者の方々のスムーズな事業承継をトータルサポート致します。
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